とるにたらないこと

できるだけ正直に、ありのままに書きます

夏服と冬服のこと

ずっと夏だったらいいのに。

 

服の通販サイトをネットサーフィンしたら、すっかり秋物の商品ばかりだった。やめて。もしかしたら今年こそはずっと、夏かもしれないじゃない。

 

冬はほんとうにダメ。何がダメかって、寒い。暑さは50度までならいける(これはジムの減量ルームの温度。余裕で活動できる)のだけど、寒さは25度切ったとたんに機嫌と体調が悪くなる。

 

寒いのに耐えられないから、適当な格好で外にでれない。こまる。装備が増えると心からだも重くなって、ぜんぜん身動きがとれない。

 

ニットやダウンの服を見ると、そんなのを着たら思いっきり動けない、と思ってしまう。適当に地べたにすわったりとか。河原で寝転んだりとか。夏は、そういうことが簡単にできる開放感と気楽さがあるから、好き。思いつきで急に川にザブザブ入ったりできる。そういうことをしても良いっていう、許されている感じ。

 

冬は、いろんなことをちゃんとしないといけない。ジッパーを一番上までしめないといけないとか。マフラーはすきまを作らず巻かなといけないとか。手袋を片方落としてはいけないとか。それに、どんな装備で挑んでも、ぜったいに寒い。勝てない。

 

冬の対策として中学生の頃に編み出したのが「夜お風呂に入ったあと、明日の服を着て寝る」だった。この方法なら朝、布団から出て、寒い中服を脱いで着替えなくていい。

 

わたしが通っていた田舎の公立中学は、時代錯誤も甚だしい、テロテロとした薄っぺらい生地の制服だった。もちろん校舎に暖房なんてなかった。

 

わたしたちはとにかく着ぶくれた。まず上は半袖の体操服、ブラウス、長袖の体操服、ラルフのセーター、制服のボックスを着る。スカートの中には体操服のハーフパンツ。靴下はくるぶし丈、紺のソックス、ルーズソックスの三枚重ね。そして各所に貼るカイロを仕込む。コートは着させてもらえなかった。

 

全部着て寝た。これだけ着ていれば寝ている時もあたたかい。布団を蹴飛ばしても凍死しなくてすむ。

 

ただしこれは大人になってからは通用しなかった。中学の頃のどうでもいい制服や体操服は寝間着に適していた。だけど、各所に装飾やデザインが施された、複雑な形状な洋服を着て寝るのはとても窮屈なのだ。

 

困った末、冬はよっぽどのことがないと出かけないと決めた。

 

8月のこの暑いさかりに、冬なんて一生こない、と想像すると、いつか本当にその願いが叶いそうな気がする。そのくらいジリジリと暑いのに、今日の夕方の空はほんの少し、秋の気配がした。